「正しい手順」と「効率的な片付け方」で無理のない遺品整理を
ご家族が亡くなり葬儀を終えると、悲しみの中にあっても「遺品整理」に向き合うこととなります。 膨大なモノを前にして途方に暮れる方も少なくありません。ご自身で遺品整理に取り組まれる際は、手当たり次第目の前のモノから手をつけずに、正しい手順を踏む方が効率良く片付き作業負担が軽くなります。 ぜひ本コラムを参考にして、無理をせずに取り組んでいただければと思います。
遺品整理とは
遺品整理とは、亡くなった人が残した物を整理することです。日用品から資産価値のある物まで種類が幅広いため、普通の整理とは違った難しさがあります。 また、遺品整理は亡くなった人の人生や思い出を振り返り、追悼の気持ちを表す機会でもあるため、作業で疲れ果ててしまっては勿体無い、ぜひ心を込めて行っていただきたい作業でもあります。
相続放棄をする場合は遺品整理をしない
相続放棄をする可能性がある方は、注意が必要です。一部分であっても相続財産を処分してしまうと、民法921条に定められている『単純承認』に該当する可能性があり、相続放棄ができなくなる場合があるからです。 相続放棄を考えている場合には、遺品整理に手をつけるのは避けましょう。
遺品整理の際に準備するもの
効率良く作業を進めるために、まずは準備をしっかり整えましょう。マジックペンやガムテープなどは人数に合わせて多めに用意しておくとスムーズに作業が進みます。
【服装】
- 汚れても良い服
- ポケットのあるエプロン
- 汗拭きタオル
- マスク
- スリッパ
- 軍手
【作業用品】
- ミカン箱大のダンボール×10箱以上
- 太めの油性マジックペン
- ガムテープ
- ハサミ
- 45リットルゴミ袋(破けにくいもの)
- ビニール紐
- 掃除機
- ほうき、ちりとり
- 濡れ雑巾と乾いた雑巾をセットで人数分
遺品整理の手順
遺品整理には、普通の整理とは違う注意点があります。遺品は相続品であるため、相続人の間でトラブルが起きないよう、コミュニケーションを取りながら進めて行きましょう。
1)遺言状とエンディングノートの有無を確認
遺品整理を始める前に、遺言状とエンディングノートの有無を確認しましょう。
【遺言状】
遺言状(自筆証書遺言など)を見つけた場合には家庭裁判所に提出して検認手続きを受けなくてはなりません(民法第1004条1項)。自分で開封せずに速やかに家庭裁判所に問い合わせましょう。ただし公正証書遺言の場合は提出は不要となります。
【エンディングノート】
エンディングノートには法的な拘束力はないので、家庭裁判所への提出は必要ありません。中身を確認し故人の希望に沿った遺品整理を行っていきましょう。
2)全相続人への連絡
遺品整理を始める前に、相続人全員への連絡を忘れずにしましょう。「遺品=相続品」のため、本来は相続人が全員揃った状態で遺品整理を行うのがベストです。作業に参加できない人がいる場合は、遺品整理の方法を説明した上で「作業を行う人に決定権を委ねる」などと一筆書いてもらうとよいでしょう。
3)遺品整理は3段階に分けて行う
遺品整理に手をつける際に、最初から「可燃ゴミ」や「売るモノ」などと細かく分け始めると、作業が複雑になり早々に壁にぶつかってしまいます。まずはシンプルに、「残す」「捨てる」「迷い中」の3種類の段ボール箱を用意してスタートしましょう。
4)ステップ1:「残す」「捨てる」「迷い中」に分ける
まずは、上に書いたように「残す」「捨てる」「迷い中」の3種類に仕分けをしていきます。参加者一人ずつに3種類のダンボール箱を用意して、それぞれが手元で仕分けていきます。 注意点としては、形見分けの品が分かっている場合には作業する人に先に伝えることです。誤って捨ててしまわれないように気をつけて作業をしましょう。また、アクセサリーや印鑑、お金など、細かい貴重品は箱の下に埋もれてしまうため、貴重品を入れるための小箱や袋も用意した方が安全です。
5)ステップ2:「残す」グループを3つに分ける
次に、「残す」グループに分類したモノを「書類関係」「資産価値の高い品物」「形見分け/譲るもの」 の3つに分けていきます。
1:書類関係
契約書類、通帳、クレジットカードなどの重要書類の他に、各種会員証、クレジットカードの明細表、光熱費の領収証なども、契約していたサービスを特定できる資料として役立つので取っておきましょう。
2:資産価値の高い品物
時計や財布、バッグ、貴金属類、骨董品、美術品、切手、楽器などは、状態によっては高く売ることができます。相続人同士で分けるのか、売るのか、後々トラブルにならないよう、取り扱い方をよく話し合いましょう。
3:形見分け/譲る
形見分けとは、故人の思い出の品を親しかった人たちに分けることです。整理を始める前に、親族や友人にあらかじめ希望を聞いておくとスムーズです。その他に、「売るほどではないけれどまだ使える物」も多く出てくると思います。希望者が引き取れるよう仕分けておきましょう。
6)ステップ3:「捨てる」グループを3つに分ける
捨てる物は「通常のゴミ」「粗大ゴミ」「自治体で回収できないもの」に分けます。
1:通常のゴミ
可燃、不燃、資源など、普段のゴミ回収に出せるものは、自治体のルールに沿って分別をしましょう。
2:粗大ゴミ
申し込みから回収日まで数週間かかる場合もあるため、注意が必要です。
3:自治体で回収できないもの
テレビ・エアコン・洗濯機・冷蔵庫は、リサイクル家電に該当するため自治体では回収できません。 その他に、耐火金庫、オイルヒーター、消化器、タイヤ、ブロック、農機具なども回収対象外の場合があります。不用品回収業者や遺品整理業者に依頼して引き取ってもらいましょう。
7)遺品整理を自分でするか、業者に依頼するか
遺品整理は初めての方にとって、時間的にも体力的にも負担の大きい作業です。手続きの複雑さも加わり疲れきってしまう方も多いのではないでしょうか。遺品整理は故人に思いを馳せ、自分自身の気持ちの整理をするための大切な時間でもあります。
遺族の方が心身ともに疲れ切らないよう、頼れる部分はプロである専門業者に頼っていただくことも一つの選択肢として挙げられます。
私たち遺品整理業者は、専門知識と豊富な経験を活かして丁寧で迅速な整理を行います。また、法的問題やトラブルを回避すること、プライバシーや環境に配慮した適切な処分方法に関する知識も熟知しています。ご自分での遺品整理に難しさを感じたら、ぜひお気軽にご相談ください。
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